ポーカーには多くの戦略やセオリーがありますが、つい初心者がやってしまいがちなアクションのひとつに「ドンクベット」があります。このドンクベットは合理的なアクションとはいえないことから、基本的には避けるべきといわれているのです。しかし、上級者があえてドンクベットを打つこともあり、自分のスキルやシチュエーションによっては効果的なアクションにもなり得ます。そこで、この記事ではドンクベットをやってはいけない理由や、戦略的に用いる場合の効果的な使い方などについて詳しく解説していきます。
ポーカーのドンクベットとは
ドンクベットとは、最後にレイズを行ったプレイヤーの次のラウンドでのアクションを待たず、自ら先にベットを行うアクションのことを指します。
基本的に、ポーカーでは最初にレイズを行ったプレイヤー(オリジナルレイザー)や最後にレイズしたプレイヤー(アグレッサー)が次のアクションを行うまで、他のプレイヤーはチェックすることがセオリーとされています。なぜなら、これらのプレイヤーは強いハンドを持っている可能性が高く、相手の出方を確認しないまま自分がベットを打つことは、合理的ではないとされているからです。
また、ドンクベットのドンクとは「ドンキー(Donkey=ロバ)」が語源とされています。ドンキーは英語圏において「馬鹿」や「間抜け」を意味するスラングです。つまり、ドンクベットとは一般的なセオリーから外れた悪手であるといえます。なお、あまり良い言葉ではないため、むやみに相手に対してドンクという言葉を向けることはやめましょう。
ポーカーでドンクベットをやってはいけない理由
ポーカーでドンクベットを打ってしまうことで、どのような不利益が考えられるのでしょうか。具体的な理由は、以下のとおりとなっています。
バリューを取り逃がしてしまう
ドンクベットが推奨されない理由のひとつは、自分が強いハンドを持っている場合に、最大限のバリューを得られない可能性があることです。
自分のハンドが強い場合は、相手からなるべく多くのチップを引き出して勝利したいものです。しかし、勝率が高い場合にドンクベットを打つと、相手に対して「強い役が完成した」というサインを与えてしまう可能性があります。結果、相手はフォールドしてしまい、バリューを取り切ることができなくなってしまうのです。
このようなシチュエーションでは、ドンクベットではなくチェックすることにより、相手があなたのハンドは弱いと誤認し、さらにベットしてくる可能性が高くなります。さらに、ここで自分がレイズして相手がフォールドしてしまったとしても、ベットされた分のチップは獲得することが可能です。
相手にこちらのハンドの強さを悟られないようにするためにも、ドンクベットは避けるべきといえるでしょう。
チェックの効果が薄くなる
ハンドが強いときはベット、弱い時はチェックというアクションばかりとってしまうと「チェックするときはハンドが弱い」と相手にバレてしまいます。その結果、相手にブラフも多く仕掛けられ、多くのチップを失ってしまうでしょう。
強い役が完成したときは、むやみにドンクベットを打つのではなく、チェックも織り交ぜることで相手にハンドを読まれないようにしましょう。
ヒットしなかった場合は無駄にチップを失ってしまう
ポーカーでドンクベットを打ってしまうと、ヒットしなかった場合に損害が大きくなる可能性があります。
例えば、プリフロップでマージナルハンド(勝率があまり高くない微妙なハンド)を持っている場合、フロップでヒットして役が強くなる確率は、おおよそ3分の1とされています。逆に言うと、3分の2の確率でマージナルハンドのままフロップをプレイしなければならない状況ということです。
しかし、レイザーはプリフロップの時点で自分のハンドが強いと主張しています。そのため、相手が本当に強いハンドを持っているのかどうかを慎重に見極めなければなりません。
ここでドンクベットを打ってしまうと、自分がヒットせずに敗北してしまった場合に、無駄にチップを失ってしまうことになります。そこで一度チェックを行い、相手が本当に強いハンドを持っているのか、それともブラフなのかを検討してからアクションすることが重要です。
相手のプレイスタイルに合わせて適切にチェックやフォールドを選択し、マージナルハンドを持った状況でも最小限の損害でゲームを進めていきましょう。
ポーカーにおけるドンクベットの効果的な使い方
ここまで、ドンクベットは推奨しないアクションであることを解説してきましたが、上級者は戦略的に使用することがあります。具体的に、どのような状況で用いられるのか確認していきましょう。
ブラフとして活用する
お互いがドンクベットについて理解している場合、あえてセオリーから外れたアクションをすることで相手を混乱させることが可能です。基本的に「ドンクベットを打つ=強いハンドを持っている」というケースが多いため、上級者はドンクベットをブラフとして活用する場合があります。
例えば、自分がA♠を持っている場合、ボードに3枚の♠が落ちていたとします。ここでフラッシュが完成していることを装ってドンクベットを仕掛けることにより、相手は判断に迷うことでしょう。仮に相手がコールしてきたとしても、次のラウンドで♠が落ちれば勝利できるという可能性があるため、そこまでリスクが大きいというわけでもありません。
なお、ポーカーのブラフについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
自分のハンドが強い場合にフォールドに追い込む
自分のハンドが強いが、ターンやリバーで捲られる可能性がある場合にもドンクベットは有効です。
例えば、ボードに2枚の♠が落ちており、相手がフラッシュドローの状態だったとします。ここで自分がチェックし、相手もチェックしてしまうと、無料で次のカードを見るチャンスを与えてしまうことになるのです。
そこで、相手をフォールドに追い込むことや、次のカードを無料では見させないことを目的としたドンクベットが効果的になります。
コストを抑えながら次のカードを確認する
オッズが合うように小さくドンクベットを打つことによって、最小限のコストで次のカードを確認できる場合があります。
例えば、自分がドローハンドだった場合は次のラウンドに進みたくなりますが、オッズに合わない額のベットをされてしまうと、コールすることは難しいでしょう。そこで、相手にコールまたはフォールドしてもらうことを目的としたドンクベットを打つことは有効です。
なお、ポーカーの勝率を計算するために必要なオッズとアウツの考え方について、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひとも参考にしてみてください。
リバーでバリューをしっかり取る
リバーまで進んでいる場合、バリューをしっかり取り切るためにドンクベットを打つことも効果的です。チェックではなくドンクベットを打つことによって、相手からコールやレイズをもらうことができれば、バリューの損失を防ぐことができます。
ただし、相手よりも強いハンドを持っているのか、慎重に判断する必要があります。また、ドンクベットを打つことでフォールドされてしまうこともありますが、勝率が高い場合はバリューを狙ってドンクベットを打つことも戦略のひとつです。
ポーカーで相手からドンクベットをされた場合の対応
ドンクベットの効果的な使い方について説明しましたが、逆に相手からドンクベットを打たれた場合にはどのように対応すればいいのでしょうか。ドンクベットへの対応方法は相手プレイヤーのレベルによって変わるため、慎重な判断が必要です。
相手プレイヤーが初心者の場合
相手プレイヤーが初心者だと判断できる場合は、単純に自分のハンドの強さを考慮してアクションを決めましょう。ブラフの場合もありますが、急に大きな額をベットしてきた場合は強いハンドが揃った可能性が高いです。勝率が低い場合は無理をせず、フォールドすることも検討しましょう。
相手プレイヤーが上級者の場合
相手プレイヤーが上級者の場合は、ボードやこれまでのプレイを考慮して慎重に判断する必要があります。特に、リバーでドンクベットを打ってきた場合は、バリューを取れると判断してベットしてきた可能性が高いです。危険だと感じた場合は、フォールドして損失を最小限に抑えることをおすすめします。
逆に、フロップやターンでドンクベットを打ってきてブラフだと判断できる場合には、勝負するのもいいでしょう。上級者があえてドンクベットを選択してきた場合は、状況を慎重に判断して対応する必要があります。判断が難しい場合はフォールドし、次のチャンスに備えることも重要です。
まとめ
今回は、ポーカーにおけるドンクベットの意味や効果的な使い方などについて解説してきました。ドンクベットは初心者がやりがちなアクションであり、基本的にはNGとされていますが、昨今ではドンクベットの効果が見直されています。初心者のうちはドンクベットを避けるほうが無難ですが、上級者になるにつれて効果的に活用できる場面も増えることでしょう。ドンクベットはNGなアクションと決めつけるのではなく、相手を混乱させる戦略のひとつとして活用してみてください。
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