ポーカーには、自分や相手の傾向を数値化することで、分析に役立つツールがいくつか開発されています。その中でも、相手のプレイをリアルタイムで分析し、勝率の高い戦略を立てるのに有効なツールがHUDです。しかし、HUDという名前を聞いたことはあっても、具体的な活用方法についてはよくわからない方も多いのではないでしょうか。そこで、本記事ではHUDに関する基礎知識やスタッツの見方、導入するメリットなどについて詳しく解説していきます。
HUDとは
HUD(Heads-Up Display)とは、対戦相手のプレイスタイルや傾向について、さまざまなスタッツを表示してくれるツールです。スタッツとは「Statics」の略語であり、日本語で「統計」のことを指します。
例えば、VPIPやPFR、3bet frequencyなどの指標を用いて、対戦相手のプレイを詳細に分析します。HUDを活用することで、相手の傾向を把握し、効果的な戦略を立てることが可能です。
人間の記憶力では、相手のアクションを全て記憶し、その情報をもとに傾向を分析することは不可能です。そこで、HUDを活用し、ポーカーの勝率アップにつなげることができます。
HUDのスタッツの見方
HUDでは、さまざまなスタッツが表示され、自分や相手の分析に役立てることができます。その中でも、特に覚えておきたいスタッツについて解説します。
VPIP
VPIP(Voluntarily Put chips In Pot)とは、ハンドへの参加率を示す数値です。この指標は、プレイヤーがどれだけゲームに参加しようとしているかを表し、戦略の分析に重要な役割を果たします。
また、VPIPにはコールやレイズも含まれ、BBの場合は強制参加のため省略される仕組みです。6maxにおいてはVPIPの適正値は約20%とされ、300ハンド以上のデータがあれば対戦相手の傾向を把握することができるため、参考にしやすい指標といえるでしょう。
なお、ポーカーのVPIPについては以下の記事でも解説しておりますので、あわせ参考にしてみてください。

PFR
PFR(Pre-Flop Raise)は、プリフロップでプレイヤーがどれだけレイズで参加するかを示す数値です。この数値は、プレイヤーがプリフロップで行ったレイズの割合を表しており、全ハンド数に対してどれだけレイズで参加したかを数値化したものです。PFRはレイズのみを含み、コールは含まれません。
また、PFRは他のスタッツと組み合わせて考えることで、より深い分析が可能です。例えば、VPIPが高くPFRが低い場合、相手はリンプを多用している可能性が高いと考えられます。このように、ひとつのスタッツだけで考えるのではなく、他のスタッツと組み合わせて総合的に判断することが重要です。
なお、以下の記事ではポーカーのリンプについて解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

3bet frequency
3bet frequencyは、プリフロップで3betした頻度を示す数値です。その適正値は約6%〜9%とされています。3betの頻度が多いプレイヤーに対しては、オープンレンジを狭めて4betレンジを広げる戦略が有効です。一方、3betの頻度が低いプレイヤーにはオープンレンジを広げることで対応できます。
Flop C-bet
Flop C-betとは、フロップで相手がどれくらいの頻度でコンティニュエーションベット(CB)を打っているかを示す数値です。また、コンティニュエーションベット(CB)とは、「プリフロップでレイズを行ったプレイヤーが、フロップでも再度ベットすること」を指します。
Flop C-betの適正値は状況によっても変わりますが、一般的に56~75%程度とされています。相手がどのような理由でコンティニュエーションベット(CB)を打っているのか、しっかり検討したうえで対策を立てましょう。
なお、コンティニュエーションベット(CB)の詳しい内容は以下の記事で解説しています。

Fold to 3Bet
Fold to 3betは、プリフロップでレイズした後、3betを返された際にフォールドする割合を示す数値です。この指標の適正値は60%〜70%程度とされています。数値が高い場合、プレイヤーはフォールドしすぎる傾向があります。例えば、80%以上のFold to 3betのプレイヤーが多い環境では、より積極的に3betを行うことでスチールを成功させやすくなるでしょう。
Steal
Stealとは、プリフロップでレイズし、相手をフォールドに追い込むことで勝利した割合を示す数値です。Stealは70%前後が一般的とされており、それ以上の数値の場合はブラフを積極的に織り交ぜてくるタイプといえます。
なお、ポーカーのブラフについては以下の記事でも解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

WTSD
WTSD(Went To Showdown)は、プレイヤーがフロップ後にどれくらいの割合でショーダウンまで進むかを表す指標です。この指標の適正値は約27%から32%とされており、これを超えるとコールしすぎ、それ以下だとフォールドしすぎる傾向があるといわれています。なお、ショーダウンまで進むことは少ないため、分析には8,000ハンド程度必要です。
ポーカーでHUDを導入するメリット
さまざまなスタッツを表示してくれるHUDには、導入することで以下のようなメリットを享受できます。
ポーカーの勝率が上がる
HUDを導入することで、ポーカーの勝率を向上させることが可能です。HUDを活用することで、例えば相手がブラフを頻繁に使用するプレイヤーであるといった具体的なデータを得ることができます。
このようなデータにもとづいてプレイすることで、根拠のない決断を減らし、より戦略的にゲームを進めることができるようになります。HUDは、相手のプレイスタイルや傾向をリアルタイムで分析し、それにもとづいて適切な戦略を立てるのに役立つツールです。
自分のハンドを分析できる
HUDは、相手の傾向を知るだけでなく、自分の傾向も客観的に分析してくれます。そのため、何が敗因だったのかを振り返ることができ、スキルアップにつなげることが可能です。HUDを活用し、自分の弱点をひとつずつ改善していくことができれば、ポーカーの上達も早くなるでしょう。
根拠を持ってアクションを選択できる
HUDを導入することで、客観的な根拠を持ったアクションを選択することが可能です。HUDはコンピューターによって正確に情報を記録し、リアルタイムで相手のプレイスタイルや傾向を分析します。これにより、各ハンドでの相手の行動パターンを理解し、それにもとづいた戦略的なアクションを取ることが可能になるのです。
このように、HUDを活用することで相手のプレイを詳細に分析することができ、それをもとにした戦略的な判断が行えるようになります。たとえその戦略が失敗に終わったとしても、その結果は新たなデータとしてHUDに記録され、将来的に役立つ情報になるでしょう。
初心者にもおすすめできるHUDツール
ここでは、初心者にもおすすめのHUDツールと、それぞれの特徴について紹介します。
POKER TRACKER
POKER TRACKERは、リアルタイムで相手のスタッツを表示する機能や、自分のハンドを分析できるデータベース機能が搭載されたHUDツールです。データベースには、自分のハンド履歴やハンド別の収支などが記録され、スキルアップに活用できます。POKER TRACKERはMacに対応しているため、Macユーザーの方におすすめのツールとなっています。
Holdem Manager
Holdem Managerは、POKER TRACKERと同様にスタッツの表示機能やデータベース機能が搭載されている、世界中で人気のHUDツールです。画面が見やすいデザインとなっており、ハンドを読み込むことで適正値からどれくらいの乖離があるのかをすぐに確認することができます。なお、Holdem ManagerはMacに対応していないため、Windowsユーザーの方のみ利用できる点に注意が必要です。
https://www.holdemmanager.com/hm3/index.php
まとめ
今回は、ポーカーのHUDに関する基礎知識やスタッツの見方、導入するメリットなどについて解説しました。HUDを導入することで勝率が上がるだけでなく、自分のプレイの改善にも役立ちます。多くのメリットがあるツールとなっておりますので、気になった方はぜひ導入を検討してみてください。
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