ポーカーの人気は世界的に高まっており、日本でも競技人口が増えてきました。それに比例してポーカーの戦略も年々発展しており、バリューベットやブラフベット以外を目的としたベットも生まれました。それがブロックベットです。ブロックベットを使いこなすことができれば、ポーカーの戦略の幅がさらに広がるでしょう。そこで、本記事ではポーカーのブロックベットに関する基礎知識や使うタイミング、メリットや注意点などについて詳しく解説していきます。
ポーカーのブロックベットとは
ブロックベットとは、ポーカーにおいて自分が不利な状況になっていたり、リスクを最小限に抑えたりしたい場合に使うベットのことです。そのため、ディフェンシブベットと呼ばれることもあります。ブロックベットの目的は他にもいくつかあり、相手のブラフを防ぎたい場合や、ポットサイズをコントロールしたい場合にも使われます。また、主に自分が不利なポジションにある時にブロックベットを打つことが多いです。
なお、ブロックベットではベットサイズが非常に重要です。一般的に、ブロックベットはポットの20%から30%程度を目安に行います。これによって、相手プレーヤーが大きなベットを行うことを牽制し、自身のリスクを最小限に抑えることが可能です。
例えば、以下のような流れでブロックベットを使用します。
- プリフロップ:自分(BB)のハンドが「A♦K♣」
- UTGが$7のレイズ、BBがコール
- フロップ:「4♠Q♦8♦」
- UTGがポットの半分である$7.5をベットし、BBがコール
- ターン:「4♠Q♦8♦ Q♣」が出て両者チェック
- リバー:「4♠Q♦8♦ Q♣ Q❤」
- BBが$7.5(ポットの25%)をベット
このハンドで自分は役が成立していませんが、ショーダウンバリューはあります。しかし、リバーでチェックを選択すると、相手からの大きなベットに対して対応が難しくなる恐れがあるでしょう。ここでブロックベットを行うことで相手のブラフを牽制しつつ、もし相手がフルハウスを持っていればリレイズされる可能性が高いため、その場合はフォールドする選択肢もあります。また、相手がA・Qを持っているような場合には、このベットに対してコールしてくる可能性もあるでしょう。
ブロックベットを使うタイミング
ポーカーにおいて、ブロックベットは主に以下のようなシチュエーションで使用されます。
マージナルハンドを持っている時
相手に勝てるかどうか微妙なハンド(ミドルペアやコネクターなど)の場合にもブロックベットは有効です。相手からの高額なベットを未然に防ぎ、ポットをコントロールすることでショーダウンに持ち込める場合があります。
ドローハンドで次のカードを見たい時
フラッシュドローやストレートドローなど、完成すれば強力な役になる可能性のあるハンドを持っている場合に、相手から高額ベットを打たれてフォールドせざるを得なかったという経験がある方も多いのではないでしょうか。このような場合にブロックベットを打っておくことで、最小限のコストで次のカードを見れる場合があります。
相手のアグレッシブなプレイを抑制したい時
アグレッシブなプレーヤーが大きなベットやブラフを仕掛けてくることが予想される場合にもブロックベットを活用することができます。ブロックベットを打つことで相手のアクションを制限し、自分のペースでゲームを進めることが可能です。
相手の反応によってハンドの強さを探りたい時
例えば、リバーで相手のハンドの強さを探るために小さくブロックベットを打ち、相手のリアクション(コール・レイズ・フォールド)から情報を得たい場合にも効果的です。少ない投資で相手の傾向を分析する手掛かりになるため、相手の出方を伺いたい場合にもブロックベットは有効といえるでしょう。
ブロックベットを使うメリット
ブロックベットはさまざまな場面で有効であり、以下のようなメリットがあります。
マージナルハンドの場合に損失を抑えられる
先述のとおり、マージナルハンドを持っている場合にブロックベットは非常に役立ちます。ショーダウンに持ち込めば勝つチャンスがあるものの、相手からの大きなベットには対応しづらいハンドでブロックベットを使用すれば、相手が大きなバリューベットやブラフを打つことを防ぎ、ポットサイズをコントロールすることができます。これにより、マージナルハンドで大きなリスクを冒さずに済むため、長期的に見てもチップの損失を減らすことが可能になるでしょう。
良いオッズでドローを引ける可能性がある
フラッシュドローやストレートドローのように、次のカードで強力なハンドになる可能性がある場合にも、ブロックベットは非常に有効です。小さくブロックベットを打つことで相手にコールさせ、自分自身もリスクを最小限に抑えつつポットを増やすことができます。
また、この戦術によって相手のアグレッシブなプレイを抑えることができれば、より良いオッズでドローを完成させるチャンスを得ることも期待できるでしょう。特に、リバーでドローを完成させられる可能性がある場合、ブロックベットは自分にとって有利な状況を作り出すために有効な戦略といえます。
ブロックベットの注意点
ブロックベットは多くの場面で有効な戦略ですが、正しく用いなければ逆効果となる場合もあります。効果的にブロックベットを行うために、以下の注意点についても把握しておくことが重要です。
ブロックベットがバレないように戦略を考える
ブロックベットを行う際、最も注意すべき点はパターンが相手にバレないようにすることです。例えば、常に弱いハンドでブロックベットを行っていると判断された場合、相手はレイズすることでフォールドさせようとしてくるでしょう。そのため、マージナルハンドやドローハンドの場合にブロックベットを打つだけでなく、バリューベットもあえて小さく打つなど工夫して、ベット額で相手にバレないように注意してください。
なお、ブロックベットを打つシチュエーションはある程度限定されているため、相手がブロックベットをしていることに気づいた時は、逆にブラフレイズを返してフォールドに追い込むこともできます。
ショーダウンバリューやエクイティがある状態で行う
ブロックベットは、ショーダウンバリューがあるか、有意なエクイティを持つハンドに対して効果的です。ショーダウンバリューとは、ハンドがショーダウンに至った際に勝つ可能性がある程度あることを意味します。エクイティがあるとは、まだポットを獲得するチャンスが残っている状態です。このふたつの条件が満たされている時にブロックベットを使用することで、リスクを最小限に抑えつつ、ポットをコントロールしやすくなります。反対に、これらの条件が満たされていない場合にブロックベットを行うと、無駄なチップを失うことになりかねないため注意しましょう。
なお、ポーカーのエクイティについては以下の記事で詳しく説明していますので、あわせて参考にしてみてください。
まとめ
今回は、ポーカーのブロックベットに関する基礎知識や使うべきタイミング、メリットや注意点について解説しました。ブロックベットを上手く活用することができれば、相手を牽制しつつ最小限のリスクでショーダウンに持ち込める可能性があります。ただし、ワンパターンになると上級者にはすぐに見破られる場合があるため、モンスターハンドでもあえて小さなベットを織り交ぜるなど、バランスを意識することが重要です。ぜひ本記事を参考にしながら、ブロックベットを上手に取り入れてみてください。
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