ポーカーの勝敗は、配られた手札の強さで決まるため運的な要素があります。しかし、数学的な要素も用いることで、より楽しめるのがポーカーです。
そこで、知っておきたいのがポーカーの期待値です。今回は、ポーカーの期待値の意味や重視される理由、計算方法について解説していきます。
ポーカーの期待値（EV）とは
ポーカーの期待値（EV）とは、ある条件のもと何かを実行したとき、得られる結果の平均値を指します。
期待値は、プレイ数が少なければ偏りも大きいです。しかし、プレイ数を重ねることによって偏りがなくなっていき、長期的には収束していきます。
ポーカーでは、期待値がプラスの行動を取れば長期的にはプラスに、反対にマイナスの行動を取れば長期的にマイナスになるのがポイントです。
基本的には、次のような計算によって期待値が決まります。
勝つ確率×獲得する金額＋負ける確率×失う金額
計算の構造を見ると、例えば、勝率が低くても獲得する金額が負けより小さかったり、失う金額が多くても負ける確率が低かったりすれば、トータルでプラスになりやすいことがわかります。
ポーカーにおいて期待値が重要視される理由
ポーカーで期待値が重要視されるのは、合理的な選択ができるようになるためです。初心者は行き当たりばったりでプレイすることが多いですが、上級者は期待値を意識してプレイしています。これにより、長期的な勝敗が変わってくるのです。
短期的な視点だと運で勝敗が左右されます。しかし、期待値がプラスの行動を重ねれば、短期的には負けでも長期的に勝率が上昇し収益がプラスになります。期待値の把握は、ポーカーでの勝率を上げるためにも重要な戦略のひとつです。
【基礎編】ポーカーにおける期待値の計算方法
ポーカーでの期待値の重要性を説いてきましたが、具体的にどのように計算して期待値を出せば良いのでしょうか。ここでは、ポーカーの基本であるオッズによるアプローチと、エクイティによるアプローチについて計算方法を解説します。
オッズ
オッズは、コールすべきか、フォールドすべきかといった場面で活用できるアプローチです。自分のハンドの勝率と照らし合わせてアクションを決めたいときに用います。
オッズがあうかどうかは、勝率がベースです。例えば、チップを10ベットして勝ったときには100獲得、負けたときには0になるケースを考えてみましょう。この場合、単純に勝った場合だけを計算に入れれば良いため、10÷100で勝率は10％になります。
ここからさらに、ハンドを考慮したアウト（ハンドに役を作るためのカードが何枚必要か）を使った計算が必要です。例えばアウトが10枚で、次にアウトを引き当てる確率が20％の場合、先に計算した10％より高くなるため、期待値的にはコールした方が良いことになります。
なお、アウトを引き当てる確率を細かく算出する計算式は複雑です。なので、簡単に近似値が出せる計算式である「アウトの枚数×2（ターン）」「アウトの枚数×4（リバー）」を用いると確率を計算しやすくなります。
エクイティ
エクイティは、その時点における仮想のポットの取り分であって、その時点でのリターンの期待値を表します。ポットとは、ゲーム中に行われたすべてのベットから成る賞金プールのことです。
例えば、ポットのチップ数が200枚で、勝率が40％だったときのエクイティは、チップ80枚です。チップ枚数に勝率をかけるだけで、簡単にエクイティは算出できます。
エクイティはその時点での期待値であるため、その後ハンドに加わるカードで変動していきますが、エクイティが高いことはポーカーにとって有利です。
端的に説明すると、ポーカーは相手のエクイティを奪い、自分のエクイティを増やすゲームと説明できます。
なぜなら、ベットするチップ以上にエクイティが増えると期待値がプラスになり、大きくチップを稼げる可能性があるためです。相手をフォールドさせてエクイティを奪うことは、自分のエクイティを高めることにもなります。
【上級編】ポーカーにおける期待値の計算方法
ポーカーで全体的な勝率を高めていくには、期待値を見てアクションを考えていくことが大切です。まずは、先に紹介した基本的な期待値の計算をもちいてプレイに反映させていきましょう。
しかし、ポーカーに慣れてくると基本的な期待値だけではもの足りなく感じてしまうことがあります。ここからは上級編として、特殊な状況下での期待値の計算方法をふたつ紹介します。
インプライドオッズ
インプライドオッズとは隠れたオッズのことをいい、今のベットでは期待値を下回るものの将来的にはオッズがあう考え方をいいます。その場限りでオッズを考えるのではなく、その後に強いハンドが揃う可能性を考えたものです。
例えば、オッズが20％で、現在のハンドでアウトを引く確率が15％だったとしましょう。基本的なオッズの考え方でいうと、コールをせずにフォールドするはずです。
それでは、フォールドせずに次のベットラウンドで強いハンドが揃った場合はどうでしょうか。もちろん期待値も高まりますので、前のベットラウンドでフォールドしなかった方が勝ちの期待は高まります。
状況によっては、インプライドオッズを意識してプレイすることも戦略のひとつです。具体的には、相手が次のベットラウンドでコールしてくれる可能性が高いと予測したとき、相手のチップがまだ十分にあるときなどに、インプライドオッズを考えると良いです。
フォールドエクイティ
フォールドエクイティは、ほかのプレイヤーがフォールドすることにより自分が得られるエクイティを考慮する戦略です。
フォールドエクイティは、相手のフォールドの確率と、相手がフォールドしたときに自分が得られるエクイティをもとに計算します。例えば、相手のフォールドの確率が60％で、自分が得られるエクイティが50だったとき、フォールドエクイティは30です。
自分のエクイティが低いと、どうしてもアクションが消極的になってしまいます。しかし、フォールドエクイティを考慮すると、相手のフォールドの可能性も考えながらのアクションがとりやすいです。アクションの可能性が広がるほか、積極的に動けるようになります。
ポーカーの期待値を引き出すプレイのコツ
ここまで、期待値にプラスになる行動を重ねていくことが、ポーカーの勝率アップにつながると説明しました。それでは、具体的にどのような行動を意識すると期待値がプラスになるのでしょうか。期待値を引き出す3つのコツを紹介します。
コールではなくリレイズする
ポーカーで期待値を上げるためには、コールではなくリレイズを必要なタイミングで積極的にしていくことが重要です。テキサスホールデムでは、役がなくても相手をフォールドさせることでゲームに勝てます。
つまり、仮にハンドが弱くても積極的にベットすることで、相手から「強い役を持っている」と思わせ、ゲームを棄権するという選択肢をとってもらうという事です。
役がないからといってコールするのではなく、ブラフ（役がなくてもベットやリレイズすること）によって相手を追い込むことも必要な戦略です。これにより、フォールドエクイティが高まります。
ただし、相手がフォールドせずにベットしてきたときは、無理をせずに潔くフォールドすることも意識しましょう。期待値ばかりに目を向けると負けが重なってしまいます。
ブラフを含めた駆け引きについては、以下の記事も参照ください。
ブロックベットを使う
ブロックベットとは、相手が大きくベットすることを避けるために、先に少額をベットしてコールを誘う戦略です。
ブロックベットがうまくいき、相手が警戒すれば、相手のアクションをコールに留められます。ハンドの勝率的に大きなベットだと期待値が下がるときは、少額のベットで相手のアクションに影響を与えるのもひとつの手です。
うまく次のベットラウンドに回れば、期待値もプラスになります。
期待値に基づいてプレイを見直す
ポーカーの期待値の計算の仕方について触れましたが、実際には考慮することが多く計算も複雑になるため、プレイ中にその都度期待値を計算するのは困難です。ここに、相手のアクションなども加わってきますので、期待値を常に把握しておくとなると難易度は高まります。
ポーカーの期待値の分析は、プレイ中よりもプレイ後の見直しに効果的です。プレイ後に期待値を測ることで、プレイにおけるアクションのよし悪しを説明できるようになります。
まとめ
ポーカーの期待値を把握することは、プレイを分析して勝率を上げるためにも重要です。実際にプレイの中で常に期待値を計算することは難しいため、プレイ後の見直しで期待値を算出して、次のプレイに活かせるようにしましょう。
コメント