世界中で広く親しまれているポーカーは、情報戦と心理戦が交錯する奥深いゲームです。その中でも「ヘッズアップ」と呼ばれる1対1の戦いで勝つためには、ヘッズアップ用の戦略について知っておく必要があります。そこで、この記事ではヘッズアップの基礎知識や、ヘッズアップを制するための戦略などについて解説していきます。
ポーカーにおけるヘッズアップとは
ヘッズアップとは、ポーカーにおいて参加プレイヤーが二人だけという状況のことを指します。これは、最初から2人のプレイヤーのみで始まる場合や、プリフロップの段階で他のプレイヤー全員がフォールドして2人だけが残った状況など、さまざまなシーンで使われます。
トーナメント形式のポーカーでは、最終的に全プレイヤーが脱落し、残り二人となった時点でヘッズアップが始まります。そのため、トーナメントの優勝を狙うプレイヤーは、ヘッズアップに対する十分な理解と対策が不可欠といえるでしょう。
ヘッズアップの戦略
複数人のプレイヤーが参加している場合と違い、ヘッズアップになった際は専用の戦略を検討する必要があります。ヘッズアップを制するために意識すべきことは、以下のとおりです。
アグレッシブなプレイを心がける
ポーカーでヘッズアップになると、複数人のプレイヤーが参加している場合とは全く違う戦略をとる必要があります。まず、3人以上のテーブルの場合はBTNがブラインドを支払うことなくプレイすることが可能ですが、ヘッズアップでは必ず自分がSBまたはBBとなるため、毎回ブラインドを支払わなければなりません。特に、トーナメントではヘッズアップとなる段階でブラインドが大きな額になっている場合が多いため、微妙なハンドを捨てて有利な状況を待つ余裕がなくなってしまいます。
さらに、ヘッズアップでは対戦相手が自分よりも強いハンドを持つ確率が大幅に減少します。具体的には、自分が持っているハンドが平均以上の強さであれば、相手のハンドよりも強い可能性が50%以上となるのです。
また、ヘッズアップでは相手に挟まれるようなポジションに置かれることがないため、「既にベットが入っているが、後続のプレイヤーがどのようなアクションをとるかわかならい」という懸念がなくなります。結果として「ポジションが有利か不利か」の2択になるというわけです。
このように、ヘッズアップでは自分のハンドが相手より優れているか否か、自分のポジションが相手より優れているか否かといったシンプルな状況でプレイが進行します。これらのことを考慮に入れると、自分がBTN(SB)で、かつ比較的優れたハンドを持っていれば、アグレッシブにプレイしていくことが重要といえるでしょう。
エクスプロイトを意識
ヘッズアップでは、参戦するハンドレンジが広くなる傾向にあるため、相手のプレイスタイルを比較的速やかに把握することが可能となります。例えば、プリフロップでの3ベット・4ベットレンジが狭い傾向にあるプレイヤーから3ベットや4ベットが入った場合、相手のハンドが非常に強力であると推測できるでしょう。
そこで、ヘッズアップの際に意識していただきたいのが「エクスプロイト戦略」です。ポーカーのエクスプロイトとは、対戦相手のミスをうまく利用して、有利に戦うテクニックのことを指します。このエクスプロイトをしっかりと意識することができれば、ヘッズアップの勝率を上げることができるでしょう。
なお、ポーカーのエクスプロイトについては以下の記事で詳しく解説しておりますので、あわせて参考にしてみてください。
ハンドレンジが広くなる
ヘッズアップの場合は、複数人が参加しているゲームと比べてハンドレンジが広くなるという特徴があります。なぜなら、対戦相手が一人であるため、本来なら参加すべきではないハンドでも勝利できる可能性があるからです。
ヘッズアップになった際はハンドレンジが広くなることを意識し、いつもよりアグレッシブに攻めていきましょう。また、ポーカーのハンドレンジについては以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ポーカーのヘッズアップにおけるハンドの価値
ポーカーのヘッズアップでは、プレイの進行が大きく異なることがよくありますが、具体的にどのように変化するのでしょうか。まず、ヘッズアップではマルチウェイが存在しないことにより、オッズが高くなっていかないことを理解することが重要です。そのため、スーテッドコネクターなどの長期的な価値を持つハンドは価値が下がります。
また、自分がポケットペアの場合に、相手が同じくポケットペアを持つ確率は約0.4%に過ぎません。したがって、22~66のようなローポケットペアであっても価値が上がるため、従来よりもアグレッシブにプレイすることが求められます。
さらに、AJやKJなどのハイカードを持っている場合も、ヘッズアップでは勝利する可能性が高くなります。キッカーに関係なくアグレッシブにプレイすることができる点が、ヘッズアップの大きな特徴のひとつといえるでしょう。
ポーカーのヘッズアップにおける注意点
ポーカーでヘッズアップになった際は、以下の点に注意してプレイしましょう。
ヘッズアップは短期決戦
先述でご紹介したとおり、ヘッズアップではハンドレンジが広くなり、プレイスタイルもアグレッシブになります。そのため、プリフロップの段階で勝敗が決まることが多いです。
ショーダウンに至らずゲームが終了することも多いため、ブラフが非常に効果的となります。ポーカーでヘッズアップになった際は、アグレッシブにプレイして相手を追い込むことを意識しましょう。
アクションの順番が違う
ヘッズアップが始まると、BTNが一方のプレイヤーに割り当てられます。ブラインドはSBとBBがあるため、BTNがSBとなり、もう一方がBBになります。このBTNとSBが一緒になるという点が、プレイヤーが混乱してしまうポイントです。
また、カードを配る順番はBTNが最後になるというルールがあるため、BBから始まります。これまでSBから配られていましたが、ヘッズアップではBBから配られるので、最初はこの変化に戸惑うかもしれません。
アクションの順番は通常BTNが最後になりますが、プリフロップのみBTN(SB)→BBとなります。つまり、BTN(SB)が最初のアクションを行い、次にBBがオプションを選択するという流れです。ただし、フロップ以降はBB →BTN(SB)の順でアクションが行われるため注意しましょう。
ハンドレンジはスタックによって異なる
ヘッズアップの際のハンドレンジは、所持しているスタック量によって大幅に変動します。
レイズやコールを行うハンドがスタック量により大きく違うため、ヘッズアップの戦略を習得するためにはスタックごとのハンドレンジを把握する必要があるのです。ハンドレンジを覚えることは大変な作業ではありますが、ヘッズアップに強くなりたい方はトライしてみてください。
まとめ
ここまで、ポーカーでヘッズアップになった際の戦略や注意点について解説してきました。通常のゲームとは、考え方が大きく異なることをご理解いただけたのではないでしょうか。特に、トーナメントを勝ち進みたいと考えている方にとって、ヘッズアップの対策は非常に重要です。少しでも対策を練っておくことでゲームを有利に進められるため、ぜひとも本記事を参考にしてみてください。
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